「変われない」を変えてくれる!?;【書評】スイッチ!(チップ・ハース&ダン・ハース)
この本を一言で表すなら、
『人の変化を容易にする「原則」が書かれた本』
ではないでしょうか。
スイッチ! | |
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「変化」の三つの意外な事実
「変化」を望むなら、変化について正しく知る必要があります。本書では、多くの方が誤って認識しているであろう、「変化の意外な事実」の解説から入り、その誤解を正す事から始まります。
「変化」の三つの意外な事実
- 抵抗しているように見えても、実は戸惑っている場合が多い
- 怠けているように見えても、実は疲れきっている場合が多い
- 人間の問題に見えても、実は環境の問題であることが多い
また、「変化」を望むなら理解しておきたい、人間の性質についても述べられています。それは、人間の脳ではつねに「感情」と「理性」が独立して働いているということです。
「変われない」を変える方法
以上を踏まえ、本書では"感情"を「象」に、"理性"を「象使い」に例えています。また、望むべき"人間の行動の変化"は「象使いと象の進む方向の転換」となるでしょうか。
つまり、先に述べた「変化」の3つの意外な事実は、次のように言い換えられます。
1.抵抗しているように見えても、実は戸惑っている場合が多い
→象使いが道に迷っている
2.怠けているように見えても、実は疲れきっている場合が多い
→象使いが疲れてヘトヘト
3.人間の問題に見えても、実は環境の問題であることが多い
→象と象使いの進みたい道がガタガタ
このような状況では、当然望むべき方向に進むことは困難となります。では、どうすればいいでしょうか。本書では、簡単な答えを提示しています。
1.象使いに方向を教える
"象使いが道に迷っている"のなら、大事な一歩を教えてやればいい。
2.象にやる気を与える
"象使いが疲れてヘトヘト"になるのは、大きな象を無理矢理ひっぱろうとするから。象にやる気を与え、象自身に進んでもらえばいい。
3.道筋を定める
"象と象使いが進みたい道がガタガタ"なら道筋を定め、整備してやればいい。
これが、本書の中で一貫して語られる、『人の変化を容易にする「原則」』です。
なんとも単純明快です。ただ、その効果たるや、すごいものがあります。
そしてその効果を、読者は身をもって体験することとなります。本書「スイッチ!」自体が、変化を望む読者の象使いに方向を教え、象にやる気を与えるのです。
象使いに方向を教える
本書は一貫して3つの原則について述べられます。「50のポイント」や「100のコツ」ではなく、たった「3つの原則」。これは、変化を望む読者の象使いに明確な方向を教えています。意識すべきは、このシンプルな3つの原則だよと。
象にやる気を与える
そして、シンプルな3つの原則を知った読者に、筆者は変化の成功例を次々に挙げ、その成功の理由を3つの原則に倣って解説していきます。
成功例は、ひとつの街や会社組織全体などの大規模な変化から、母親の虐待をなくす個人の変化まで様々です。そしてそのどれもが劇的です。読者の象に、「どんな変化でも起こすことは可能なんだ」と訴えかけます。
ぼくは特に、はじめの方に書かれている、10万人の命を救うことを目標に掲げ、見事に達成したお医者さんの話にすごく感動しました。
道筋を定める
読者の象使いに方向を教え、象にやる気を与える。道筋を定めることに関しては、その手段を数多く示してくれます。
まとめ
人間の行動を変えるのは、それが自分であっても自分以外の人であってもとても難しいです。でも、変える方法は必ずあるはずです。まず自分がその方法を探すことを始めなければなりません。本書「スイッチ!」は、その大事な大事な一歩を踏み出す後押しをしてくれる存在になるのではないか、と思います。
編集後記
はじめて書評というのを書きました。なんて難しいんや。。。たくさんの書評を書かれている方々は、ほんとうにすごいなぁと思いました。ただ、難しく時間もかかりましたが、そのぶんすごく本と向き合うことができました。これからもいろんな本を読み、書評を書くことで、ためになったことや自分がその時考えたこと、その本を読んだ証を、形として残していきたいと思います。