「学び」の姿勢について【書評】食える数学

食える数学
食える数学神永 正博

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2010-11-16
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「数学って結局のところ何に役立つの?」と思う方、いませんか?
本書には、ふだんの生活に活かされている数学の応用例が数多く取り上げられています。数学がどう活かされているのか少しでも興味がある方は、読んでみてはいかがでしょうか。

序章 数学の役立たず
第1章 役に立つ数学入門
第2章 どの数学が好きですか?
第3章 数学者ではない人のための数学
終章 アカデミックスマートからストリートスマートへ

ただ、本書のターゲットはおそらく大学で数学を学んでいる方なので、多少なりとも工学部・理学部で数学を学んだ方のほうが、より楽しんで読めるかもしれません。

本書の読みどころ

あまり数学に親しくない方にも学ぶことが多いのが、「終章 アカデミックスマートからストリートスマートへ」です。ここでは、学びの姿勢について著者の考えが多く述べられています。

いちばん輝いていた時期が学生時代だなんて、あまりにもったいない。

アカデミックスマートとは、いわゆる「優等生」のことです。学校の勉強ができる人たちです。でも、学校の勉強ができるだけでは"あまりにもったいない"。実際に今生きているストリート(現場)から学び、人生をきり拓いていくための勉強を目指していく。これは勉強するさいにとても大切なことだと思います。

まずつくって遊ぶのが先で、その過程でよく考えないとうまくいかないことが出てくるので、それを学問的に洗練するという順序のほうが、むしろ自然

理想の形は「遊び」から「学び」を得て、発展させていく。楽しむことから入るというのは、とても大切だと思います。

「なかなかわかった気にならないのは、ある種の数学的才能」です。

このことは数学に限らないと思います。わかった気になるとそこで思考は停止します。ただ、個人的にそれを才能とよびたくはないです。心がけ一つで、わかった気を防ぎ、思考の停止を防ぐことはできます。

まとめ

数学で食べていきたいと考える人は、それほど多くないと思います。ごく少数でしょう。ただ、すべての人が数学を学びます。学ぶからには、それを活かすことは大切だと思います。無意味にテストの点数だけを求めるのでは、それこそもったいないです。
どう生かすのか、本書はそのヒントになるのかもしれません。