MF06:条件違えば未解決!?
「MF03:視点を変えると捉え方が変わる。それもまたおもしろ」で、ピタゴラスの定理についてちょこっと取り上げました。
これです。「MF03」では、このピタゴラスの定理の文字を増やしてみるとどうなるんやろうってことを考えてみました。そこでやったように、「ちょっと条件を変えてみようかしら」ってのはなかなか大事なことでそっからいろんなことがわかったりします。また、「ちょっと条件を変えてみようかしら」ってのは言わば好奇心の現れですから、そんな風に考えることができてることがすんばらしい。そっから新たな疑問が湧き、思考錯誤が始まっていくわけですから。
条件の変え方を変えてみる
さてさて、「MF03」では文字を増やしてみたんですが、今度は同じ式の別の部分をちょこっと変えてみてみてみたらどんなことが起こるんでしょうかね。
こいつの2乗の部分を、

3乗にした式について考えてみましょうか。で、この式を満たす実数を考えても無数にあっておもしろくないので、「この式をみたす正の整数a,b,c」について考えてみましょうか。
2乗のときには、
(a,b,c)=(3,4,5),(5,12,13),(8,15,17),...
などなど、式を成立させるa,b,cの値はいろいろと見つけることができるわけです。これが無数にあるのか?なにか3つの数に規則はないのか?なんてことも疑問として挙げられるかもしれませんが、それはひとまず置いておいて(でも、そんな風に疑問をもつことはすんごく、すんごーく大事なことなんですけどもね)、3乗の方で成立するa,b,cは存在するのかってのを考えてみるとかどうでしょう。ぜひいろんな正の整数をa,b,cに放り込んでみて、成立する数があるのか探してみてください。
結論を知っている方も多いかもしれませんが、実は成立する正の整数a,b,cは存在しません。ガビーンです。
2、3ときたら4、5、そしてnへ。。。
3乗で成り立つ正の整数a,b,cが存在しない。となると次は2乗、3乗と来たんやから4乗、5乗、6乗、、、ではどうかな?と思考を進めいくことができると思います。でね、実際には4でも5でも6でも、式を成り立たせるような正の整数a,b,cは存在しません。

で、この”〜乗”の部分を”n乗”として「nが3以上のときに成立するような正の整数a,b,cは存在しない」という定理が、何百年も未解決問題とされた「フェルマーの最終定理」ってやつなんです。
(追記:フェルマーの最終定理は1994年10月に、イギリス生まれの数学者アンドリュー・ワイルズによって証明が提出され、1995年2月13日に誤りがないことが確認されました。解決済みであるという記述がぬけてしまっておりました。すいません)

つまり、「3乗ではどうなんやろう?」と考えてみた時点で、何百年も未解決であったフェルマーの最終定理に片足を突っ込んでいたんですね。
おわりに
はじめはお馴染みのピタゴラスの定理で、その条件をちょこっと変えただけで名だたる数学者たちが解決しようと試みても解決できなかった未解決問題に変身する。そんなことが実際に起こっちゃったりします。中学生で習う定理が、何百年も未解決であった定理につながっている。そういうところも、数学の不思議なところ、おもしろいところかなぁと感じたりします。もしかして、自分が知っている定理の条件をちょちょっといじってみると、あらたな未解決問題が姿を現す、、、かも?では、お読みいただきありがとうございました。