力を引き出す環境づくり〜「日本で一番大切にしたい会社」を読んで学んだこと〜

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ぼくは、「特別支援学校」という、知的障がいのある子どもたちが通う学校に勤務しています。なので、障がいについての理解は人よりも深いと思ってますし、障がいのある子たちの”すごい力”も知っています。

そんなぼくなので、当然「障がい者雇用が7割を超える会社」と聞くと興味がわき、どんな会社か知りたくなるわけで。



五人に対する使命と責任

「日本でいちばん大切にしたい会社」では、著者が選んだ大切にしたい会社が主に五社、紹介されています。

どの会社も、著者が思う会社の条件、「五人に対する使命と責任」を果たしている会社たちです。

「一、社員とその家族を幸せにする」

「二、外注先・下請企業の社員を幸せにする」

「三、顧客を幸せにする」

「四、地域社会を幸せにし、活性化させる」

「五、自然に生まれる株主の幸せ」
この「五人に対する使命と責任」が、著者のまったくブレない理念として、本書全体を通して貫かれています。

私の経営学では「一に人財、二に人財、三に人財」で、あとは人間を幸せにするための道具にすぎないと考えています。
そして、本書で紹介されるどの会社も、そういった理念をしっかりと持っています。

四つの幸福

そしてぼくがもっとも興味を引かれた、障がい者雇用が7割を超える会社、「日本理化学工業」の話に入っていきます。

その日本理化学工業の社長さんは、”四つの幸福”をお坊さんに聞き、はじめに雇用した障がい者の方がほんとうに一生懸命に働く理由を悟ったそうです。
幸福とは、①人に愛されること、②人にほめられること、③人の役に立つこと、④人に必要とされることです。そのうちの②人にほめられること、③人の役に立つこと、そして④人に必要とされることは、施設では得られないでしょう。この三つの幸福は、働くことによって得られるのです。
働けないということは、四つの幸福のうちの三つを奪うことになります。
働く喜び、働く幸せを知らないままに施設で死ぬまで暮らすことになってしまいます。
毎日学校でみんなと接していると、みんな不得意なことは多いのですが、得意なこととなるとすごい力を見せてくれます。それだけの力を持っています。

そんな特技をもったみんなが、1人でも多く働ける環境がどんどん整っていって欲しいと、心から思います。
能力にあわせて作業を考え、その人に向いている仕事を与えれば、その人の能力を最大限に発揮させることができ、決して健常者に劣らない仕事ができる
属に”健常者”と呼ばれる方々と、学校のみんなは”理解しやすい伝え方”、”やりやすい方法”が違います。そこをしっかりと把握することができれば、ほんとうにすごい働きをみせてくれるもんです。

これは日々みんなと接するからこそ、わかってきたことです。いろんな人にみんなの力を知って欲しいな、と願います。

感動の連鎖

「ものすんごい腹が立った」「むちゃくちゃ悲しかった」「びっくりするくらい楽しかった」。そんなときって、人に話したくなりませんか?

感情が動くと、その出来事を人に伝えたくなったりします。”感動した”ときもそうです。
その会社や経営者の正しさに感動した人は、その感動を誰かに伝えたくなります。そうやって次々と味方が出てくるのです。そういう人に支えられている会社こそ、国の宝といえる
”感動した”ことを伝えると、感動の連鎖が起こります。感動が連鎖していくことで、「自分もなにかしたい。自分にも何かできないか?」と考える人が増えていったら、そんな素晴らしいことないですよね。

「すごい!」と思ったら、それを他の人に伝える。

簡単にできることですが、それも一つの大きな手助けと言えます。

「いろんな人にみんなの力を知って欲しい」という思いも、こうやって伝えていくことで何かしらの変化があるかもしれませんし。

どうにか、みんなが力を発揮することのできる環境づくりの一端を担うことができればな、という思いです。

おわりに

自分の気持ちが先行しちゃって、ここでは一社のことについてしか書きませんでしたが、本書では五つの会社を取り上げられています。

どこもその会社独自の理念・信念に基づいて経営されています。

ぼくは経営の”け”の字もわかりませんが、日本が本書で紹介されているような会社ばかりになっていけば素敵なことだなと思いました。

では、お読みいただきありがとうございました。


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