授業準備の各段階での、準備の進め方1「年間計画」と「単元計画
日常的に行っているアウトプットは、大きく2つあります。「ブログ」と「授業」です。「ブログ」については、これまでどのように書き進めているのか、何度か書いてきました。今回は、「授業」について書いてみたいと思います。
授業準備の各段階
ぼくは、特別支援学校に勤めており、数学の授業を定めたカリキュラムというのが存在しません。生徒の実情に合わせて、その都度、どのような力を身につけてもらうべきかを考え、内容を定めていきます。つまり、授業者が、授業の内容をかなり自由に設定できる環境にあります。
これがなかなかに難しい。まっさらな状態から内容を定め、準備していかなければいけないので、戸惑いや不安は常にあります。でも、自由だからこそできる授業ってのも必ずあるはずで、この自由度を楽しみながら授業をしています。
授業の準備は、大きく分けて三段階あります。
- 一年間の授業計画
- 各単元の、はじめから最後までの流れ
- 単元内の、一回一回の授業
どういった単元を設定し、扱っていくのかを決め、一年間という大枠を定めます。そして、各単元ごとの、はじめから最後までで扱う内容を定め、一回一回の授業を作っていきます。大きな地図をまず描き、その一部分を切り出して少し精緻に地図を描きなおし、さらにズームインして細かい部分を明らかにしていく。そんな感じでしょうか。そして、各段階で、描く地図はかなり違ってくるので、当然ネタだしや内容の決定に用いるツールってのも違ってくるわけです。
一年間の授業計画
一年に一度か二度、「この一年で、どんな単元を扱っていくのか?」を考えます。この時点では、ポツリポツリと単元の案はあるものの、一年間の流れはまったく想像できていません。どういったものが形作られていくのか、まったくわからない状況です。こういうときによく使うのが、A3サイズ以上の「大きな紙」や、「付箋」、「情報カード(名刺サイズ)」です。
思いつくこと、考えつくことを吐き出して、つなぎ合わせて、足りない部分を補う。そういう流れで考えていきます。まだまだ形作られる前段階なわけなので、その形を作るための材料集めからはじめる必要があるからです。
そんなとき、付箋や情報カードは、ポンポンと思いつきを次々に書き出していくことができ、かつ、後から配置を変更できるため、便利です。
付箋や情報カードに書き出した授業案を組み合わせ、ある程度のまとまりをいくつか作り、一年間の授業で取り上げる単元を設定していきます。
- ざっくり考えたいとき、思いつくことをポンポンと吐き出しておおまかな形を作りたいときは、大きな紙や付箋、情報カード(名刺サイズ)がいい感じ。
各単元の、はじめから最後までの流れ
一年間で触れる、内容的な大きなまとまりのいくつか(単元)を定めることができれば、次は単元ごとの中身を考えていきます。だいたいいつも、その単元に差し掛かる前に、その単元の、はじめから最後までの流れ定めておきます。授業をやってるうちに変更するところはいくつも出てくるのですが、あらかじめその単元にて、「これだけは身につけてほしい!」っていうポイントを定めておきます。中心となる軸をひとつ置くわけです。一回一回の授業では、そのポイントの獲得のために必要なことを触れていきます。
各単元のはじめから最後までを考えるときには、A3サイズや、最低でもA4サイズの紙を使うことが多いです。ここでも、「一年間の授業計画」を考える時と同様、思いつくことを吐き出しながら考えを進めていきます。少し違うのが、「これだけは身につけてほしい!」というポイントをまず押さえ、そこに至るまで、そのポイントを獲得させるために必要なことを書き出していくところ。一年間の授業計画のように、とにかく思いつくものを、って感じではなく、ポイントを中心に思考を広げていく感覚です。
例えば、「正負の数の加減乗除ができるようになる」ということが、単元の目標であれば、そこに至るためにどういったことを押さえ、どういう順序で進めていかなければいけないかを考えます。中心に単元の目標を据え、そこに至るまでのストーリーを思い描く作業です。はじめから最後までの流れを定めます。細部まで作り込むのは、次の段階となります。
- テーマが決まっているときは、中心にそのテーマを据え、展開していく。大きな紙がおすすめ。
おわりに
今回は、「一年間の授業計画」と「各単元の、はじめから最後までの流れ」における、準備に用いる発想のツールについてでした。残る「単元内の、一回一回の授業」については、ちょっと内容的にボリュームがありそうなので、回を分けて書きたいと思います。
では、お読みいただきありがとうございました。