成果をあげる人の思考【書評】実践するドラッカー[思考編]

大前提

本書の一番始め、前書きの一行目がこの引用からはじまります。

成果をあげる人とあげない人の差は才能ではない。いくつかの習慣的な姿勢と基礎的な方法を身につけているかどうかの問題である。

「成果をあげる人になるためにはどうすればよいのか。」
その課題ととことん向き合うための手助けとなるのが、本書であり、またドラッカー教授の本であるように感じます。
二つ目の引用はこうです。

知識は、本の中にはない。本の中にあるものは情報である。知識とはそれらの情報を仕事や成果に結びつける能力である。

本書には成果をあげる人になるために考えるべきことが書かれております。しかしそれを読んで終わらせるだけでは情報を得ただけ。仕事や成果に結びつけてこそその情報は意味を持つことをこの引用は強力に訴えています。「知った」だけでは満足すべきでない、「わかった」状態まで持って行く必要があることを自覚することから本書を読むことははじまって行きます。

資源は限られている

資源とは、時間や知識のことです。一日が24時間であることはどうあがいても変えられませんし、一人の人間が吸収できる知識というのも無限ではありません。
その貴重にもほどがある資源を有効に、確実に使用していかないと、なんとなしに一生を終えることになってしまいます。

なされるべきことはほとんど常に複数である。しかし成果をあげるには手を広げすぎてはならない。一つのことに集中する必要がある。

そうならないためにも資源を「集中する」ことは、大きな一つの課題であると言えます。

集中する

集中とは、「真に意味あることは何か」「最も重要なことは何か」という観点から時間と仕事について自ら意志決定をする勇気のことである。

仕事ができる人の共通点として、よく「即断即決をする」「整理整頓を怠らない」というのがあげられます。これはまさに「集中する」ための意思決定力を持った人に当てはまることなのではないでしょうか。
集中するためには、ほかの多くのことをそぎ落とす必要があります。つまり多くのことを捨てなければいけなません。「捨てる」ことには勇気が必要。だから優柔不断で、捨てられない人が多いのです。優柔不断でない、ということは、この「捨てる」という行為に抵抗感がないということ。なので仕事のできる人は即断即決ができる人が多いのかもしれません。
「捨てる」ことの抵抗をなくすためにも、普段から即断即決を心がけ、整理整頓を怠らないことが、自分の「集中する力」を養うことにつながるのかもしれません。
しかし「資源を集中せよ」と言われたとしても、すぐに浮かぶのが「何に?」という疑問です。それにはまず自分の「強みを知る」ことが必要です。

強みを知る

「自分のことは自分がよく知っている」と言いますが、「自分の強み」まで完全に把握しているかは疑問に思います。把握できていたら何も問題はありません。が、もし少しでも自分の"強み"で見逃しているものがあれば、それはとんでもなくもったいないことです。
また、自分の"強み"を勘違いしていたとしても、力の入れどころがズレてしまうことになります。これらを防ぎ、資源を集中させるためにも正確に自分の"強み"を知ることは重要です。

強みを知る方法は一つしかない。フィードバック分析である。何かをすることに決めたならば、何を期待するかを直ちに書きとめておかなければいけない。そして九ヶ月後、一年後に、その期待と実際の結果を照合しなければならない。

フィードバックの大切さは現在の自分を切り取ることの重要性でも書いたように、痛いほど身にしみた。
このときは、モレスキンを"たまたま"読み返した。"たまたま"なので、ちょっと違えばもしかしたら読み返さなかったかもしれない。でも、それではいけない。「読み返す」という行動を意識的にとるようにしなければいけない。そのためのモレスキンであるので。

まとめ

成果を上げる存在になるためには、自らの強みを知り、そこに資源を集中させることにより卓越性を身につける必要がある。
自分自身もっと身に迫って考えないといけないのは、「資源は限られている」ということ。そこがいまいちわかっておらず、ダラダラと過ごしてしまうことが多いです。

私は17歳の時、こんな感じの言葉を本で読みました。「毎日を人生最後の日だと思って生きてみなさい。そうすればいつかあなたが正しいとわかるはずです。」これには強烈な印象を受けました。それから33年間毎朝私は鏡に映る自分に問いかけてきました。「もし今日が自分の人生最後の日だしたら今日やる予定のことは私は本当にやりたいことだろうか?」それに対する答えが「ノー」の日が何日も続くと私は「何かを変える必要がある」と自覚するわけです。
YouTube -スティーブ・ジョブズ 日本語で学ぶ伝説のスピーチ(字幕)

人生最後の日はいつかはわかりませんが、それは知らない間に確実に近づいています。それをもっと自覚し、日々の行動を考えていくことが自分自身には必要です。

おわりに

本書「実践するドラッカー[思考編]」が、ぼくにとって初の「ドラッカー本」。ドラッカーの言葉→著者の解説というこの本の構成は、読みやすくそれでいて内容も十分だったように思います。次は姉妹書の「実践するドラッカー[行動編]」を読んで、それからさらに深く、少しずつドラッカーの本に触れていこうと思います。
では、お読みいただきありがとうございました。

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