Evernoteと発想法

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「発想法」が世に出て45年以上経ちます。45年前に出版された本が今も色あせずに残っていることに驚きなのですが、45年を経て、さらに輝きを増している部分も見受けられます。

「まとめる」こと

ノートやルーズリーフ、情報カードあるいは本書内にも登場するパンチカードなど、いわゆる”アナログツール”しか持ち合わせていない頃に「発想法」は出版されました。

大きな課題の一つが、それらに記した情報をどう保存・整理するか、だったようです。
現在の科学的方法は、分類、要約、分析には力をもっているけれども、統合するという問題に対してははっきりとした方法を何も用意してこなかった。この統合と切り離せない問題が、いかに新しいアイディアを生み出すかという啓発の道である。
統合するためのツールに乏しく、きれいに分類された様々な情報があっても、それらを横断的に見ることがなかなか困難だったのでしょう。
「まとめる」ことには、たんに同質的なものの要約と分析という手続きだけでは不十分な場合がある。それはなんであろうか。すなわち、ぜんぜん性質の違う、比べることのできない資料同士を集め、それらの組み合わせからどういう意味が見いだせるかという意味での「まとめる」過程である。
”ぜんぜん性質の違う、比べることのできない資料同士を集め”るための器が、なかなかなかったのだと思います。

40数年前は確かにそうだったのかもしれません。では、今はどうでしょうか。

情報を「データ」として扱うことができるようになった現在、器の役割を担うことのできるものが、どんどん現れています。

顕著たる例が、そう。Evernoteです。

分類はノートブックによって行うことができますし、全然違う性質の様々な情報も一緒にして放り込んでおくことができます。

ノートブックで分類されていても、タグによる横断的な検索も可能なので、ぜんぜん性質の違う情報を組み合わせることも簡単です。

KJ法は、集団で行う発想法なわけですが、Evernoteによって、個人でも威力を発揮する方法にもなり得ます。

KJ法におけるEvernote

問題に対するアイデアブレーンストーミングによって出し合い、それらをまとめていくのがKJ法なわけですが、一人で行うと、どうしても集団で行うよりもアイデアの絶対量は少なくなるでしょう。

でも、Evernoteに情報をとにかく放り込んでおくことによって、それはある程度解決することができそうです。
一応問題がはっきりとらえられたとすると、次には外部を探検に行かなければならない。つまり自分もしくは自分たちの頭の中以外の世界へ出かけて、この問題に関係があるか、または関係がありそうなあらたな情報を探検すべきなのである。この「外部探検」のときの第一の注意は、問題に「関係のある」情報だけを集めたのだけではいけないということである。さらに、問題に「関係のありそうな」情報までを含めねばならない。
「関係のありそうな」情報を含め、集める。Evernoteにいれておく。

こうすることで、自分以外から出てきた情報に多く触れることができます。

また、Evernoteは、「過去の自分」のアイデアまでをも、受け止めてくれます。
■過去の自分
自分は自分でも、過去の自分と今の自分が寸分違わず同じ、ってわけではないでしょう。1年前の自分が考えもしなかったことを、今の自分が考えているってことは大いにありえます。

また、今の自分では思いつかないことを、過去の自分は考えてたりもします。これはEvernoteを見返すと、本当に感じることです。

ということは、ある問題に対するアイデアを、もしかしたら過去の自分が持ってたりするかもしれない。

Evernoteによって、過去の自分も交えてのブレストが可能になるわけです。
■「関連するノート」
また、Evernoteには、「関連するノート」を表示してくれるというおもしろい機能があります。

これによって、ノートブックによる分類、タグによる横断的な検索に加え、そこに引っかかってこなかったノートを表示してくれる可能性すら出てきたわけです。

発想を促すツールとして、さらに磨きがかかってきたように感じます。

おわりに

本当に残念なことに、「発想法」の著者、川喜田二郎さんは2009年にこの世を去られています。

Evernoteが日本でサービスを提供開始する1年前ということになります。

すごく興味が湧くのが、もし、川喜田二郎さんがEvernoteを使っていたら、どうなっていたのかということ。

それを知ることはもうできませんが、川喜田 二郎さんがのこしてくれた発想法についての知見を、少しでも自分のなかに消化できればな、と思う次第であります。

では、お読みいただきありがとうございました。

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