文章は焦げ目をつけておいしくする【書評】人を動かす文章術


毎日ブログを書いています。何人もの方に自分の文章を読んでもらえることは、うれしい反面恥ずかしさもあります。常に思うことは、ぼくの書いたものを読んで何か感じでくれたら、心に残るものがあればいいなということ。
もっと文章がうまくなりたいです。

誰も教えてくれない人を動かす文章術 (講談社現代新書)誰も教えてくれない人を動かす文章術 (講談社現代新書)
齋藤 孝

講談社 2010-12-17
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焦げ目が文章を引き立たせる

文章を書くということは、一種の自己表現をするということです。事実をそのまま述べるだけであったり、ただあらすじを書くだけであったりの文章を上手に書くことが目標ではなく、人の心を動かす文章を目指す。つたなくても、まとまっていなくてもいいので、自分を表現することからはじまります。

ここでの書く力とは、発見や独自の視点が盛り込まれた文章を書く能力です。

発見や独自の視点とは、つまりは自分の"個性"です。文章を、自分の個性をもとにして書いていく。そうすると、自分の視点に偏ったものになります。あまりに偏りすぎていてはそれも考えものですが、多少の無理や歪みであれば、それがかえって文章を引き立てる要素となります。

「なんで、ここでこれ!?」と驚かれるようなものを文章に放り込んでガリガリつなげていく強引さがあると、その人の個性、歪み、というものがにじみ出てきて、「なんか焦げくさいよね」「ここ、摩擦熱が起こっちゃってるんですけど」という感じで、ウケる人たちにはものすごくウケるのです。

文章を焦げ付かせる

文章力は、「段取り力」

著者は、話の筋の展開や組み立てのしかたのうまさがそのまま文章力につながっていくといいます。では、文章を焦げ付かせやすい段取りとはどのようなものでしょうか。

■焦げ付きを生む3つのプロセス
  • 1.最後の文章を決める
  • 2.スタートを決定する
  • 3.通過地点を三つほど定め、スタートとゴールをつなげる

この組み立て方こそ、自分を表現する、つまりその人の個性、歪みを引き出すのに適している段取りです。

1.最後の文章を決める

まずはじめに最後の文章、結論を決めてしまう。自分がどんなところに話を持っていきたいのかはっきりさせることによって、そこに向かっていく突進力のようなものを生み出します。
そして気をつけるべきことが、「結論は凡庸であってはならない」ということ。

文章の結論には、もっと発見が必要です。私たちが目指す文章は、凡庸に流れてはなりません。

結論にこそ独自の視点を盛り込み、文章を締める。そこに凡庸さはいりません。結論が凡庸では、突進力が少なくなり、焦げ付きを生み出すことは難しくなります。

2.スタートを決定する

スタートとはすなわち「タイトル」です。

タイトルで大切なのは、そこで一気に読者の心をつかむということです。そのためには、ゴールに対する疑問文の形にすることをお勧めします。

タイトルの重要性はまぎれもなく高いです。そんな悩ましいタイトル付けですが、著者はゴールに対する疑問の形にすることを薦めています。それは、ゴールを凡庸でない独自のものであれば、疑問の形をとるだけで他の人にとっては「どういうことだろう?」と思うものになるからです。

3.通過地点を三つほど定め、スタートとゴールをつなげる

独自の視点を展開するうえで、重要だと思われるキーワードを三つ選び、順番を決めて配置します。三段構えをとることで、文章に説得力を出すのです。

文章の流れは、それほど緻密なものてわなくてもかまいません。最後のゴール地点が決まっていれば、そこに向けての三段階は力技でもいいのです。「多少無理があるかも」という論理であっても、「とにかく目標地点は決まっているんだから」と踏ん張って、遠慮せずにガン、ガン、ガンと攻めていく練習をすると、文章を書くのが格段に速くなってきます。

強引につなげる突進力が摩擦を生み、個性を引き出し、文章を焦げ付かせていきます。
これで、焦げ目のついたおいしい文章のできあがりです。

おわりに

本書では他にも人を動かす企画書、謝罪文、自己アピール文、メールなどの書き方を実例を踏まえて教えてくれます。
文章を全く書かないという方はほとんどいないと思います。そう考えれば、たくさんの方におすすめしたい一冊です。
では、お読みいただきありがとうございました。

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