ほんとうに使える武器〜「武器としての決断思考」を読んで学んだこと〜

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過去のやり方が通用せず、未来予想もうまくできないなかで、自分の人生や家族の将来を見据えながら、ひとつひとつ現時点で最善と思える「意思決定」を行っていかなければなりません。
自分の頭で考え、意思決定していく。その力こそが武器となり、今の時代を生き抜くための”武器”となっていく。その武器となり得るのが「ディベート」の考え方をもとにした「決断思考」であると筆者は述べています。本書は、ディベートの考え方をもとに、「武器としての教養」を身につけさせるべく書かれた本です。

武器は「使ってなんぼ」

「あなたは「武器」と呼べるような”強み”を持っていますか?」

もしもこんな質問をされたとすると、たちまち悩んでしまいます。自分は武器を持っているのか。

でも、こうも思います。だれでも、「武器」と呼べるような”強み”を持っているのではないか、と。ただ、まだあまり使ったことがないために、それに気づくことができていないだけで。
武器は持っているだけでは意味がありません。使ってなんぼ。失敗しても、間違ってもいいから、自分が得た知識・教養を、自分の判断、自分の行動に日常的に役立ててください。
使って使って気づいていくことなのかもしれません。使ってなんぼ。”強み”は使うことで武器になるし、使うことで武器であると知ることができる。失敗しても、間違ってもいいから自分の力を常日頃使うことを意識していく必要があるのかもしれません。

情報との付き合い方

大学以降の人生では、情報に接したら、それが本当かどうかをまず疑ってください。 「本にこう書いてあるけれど、偉い人がああ言っているけれど、それは本当なのか? 」と考えることを習慣にしなければなりません。
ぼくはまだ、大学以降の人生を歩み始めたばかり。習慣的に「本当にそうか?」と考えることができているかと聞かれると自信はありませんが、ただ、情報を鵜呑みにはしないでおこう、と意識はしています。情報を鵜呑みにしてしまうと、情報にコントロールされかねない。

例えば、こんな文章を読んで納得してしまいそうになりませんか?

「数学やITの分野での発展がめざましいインド。そのインドでは、2桁×2桁の計算まで暗記しているのだと言う。ならば、数学の力の低下が叫ばれている日本でも、2桁×2桁の計算まで暗記すべきだ。そうすれば低下を防ぎ、数学の力をつけることができる。」

一見納得してしまいそうになりますが、ちょっと困った議論です。少し立ち止まって考えてみてください。

”そうすれば低下を防ぎ、数学の力をつけることができる。”という結論は、早急すぎます。もしも、日本とインドの数学教育のカリキュラムが、「2桁×2桁の計算まで暗記する」こと以外すべて同じであれば、この主張は確かなものになりますが、実際はカリキュラムは大きく異なります。なのに、「2桁×2桁の計算まで暗記する」というある一点だけに注目して、それさえ行えばいいというのは、因果関係を限定しすぎです。

こんな風に、ちょっと立ち止まって、「因果関係は確かか?」を考えるだけでも、情報に惑わされることを防ぐことができます。「本当にそうか?」と考える。かなり大切な習慣ですね。

ぜひ心がけたい3つのこと

本書では「武器としての決断思考」を授けるべく、様々な例を用いてディベートの方法がわかりやすく解説されているのですが、ふとしたところに見える著者の主張も、是非とも日頃から意識しておきたい。
「なんで?」と問うことを癖にするのです。
先ほどの話と通じますが、「なんで?」と問うことを癖にし、ちょっとした”ギモン”を大切にすることで、情報に惑わされtないことにもつながりますし、その小さなギモンが新たな発見を生み出す可能性も秘めています。「なんで?」と問うことを癖にし、忘れないためにもそのギモンをメモしておく。疑問について自分の頭をひねって考え、ときには調べて疑問を解消することで、情報に惑わされない姿勢というのは身についていくものでしょうし、その疑問からなにか生まれるかもしれない。日頃から「なんで?」と問う姿勢を大事にしたいものです。
人はどうしても過去を重く、そして未来を軽く見積もってしまいます。
これは人の”特性”として、知っておくべきです。仕事にかかる時間の見積もりを行えば、この一文には深く納得させられます。

「時間ができたときにでも」

「やる気あるときに一気に」

そういって、未来の自分に期待をし、仕事を先送りにしてしまったことは誰しもあるはず。でも先送りしても、時間を捻出することができる自分、やる気のある自分が現れてくれるとは限りません。そんな不確かなことなのに、やっぱり先送りしてしまう。「未来を軽く見積もってしまう」ことを知っておくだけでも、その先送りに少し歯止めをかけることができます。
大事なことは、 「できるかぎり多くの視点から自分の意見や相手の主張をチェックする」ということです。
自分の意見という枠を飛び越えて、自分と反対の意見についても一度考えてみる。それってとても大切なことです。

自分の意見に固執することは、すなわちそこで思考停止してしまっているということです。その先をみることはありません。でも、一度自分とは反対の主張についても考え、いくつかの視点から物事をみてみることで、新たな側面が見えてきたり、自分の意見がより強固になったりします。思考停止を防ぐためにも、多くの視点から意見、主張についてチェックする意識は、常に持っておきたいものです。

おわりに

”考える”ことは、脳みそを使います。脳みそを使うと、疲れます。”考える”ことは疲れるので、敬遠しがちです。でもいつまでも”考える”ことを敬遠していては、どんどん脳みそを使うことが少なくなり、より疲れやすくなってしまいます。思考の”体力”とでもいうものが衰えていきます。脳みそを衰えさせないためには、”考える”ことは、日常的にやっていく必要があります。そのエッセンスが、本書にはちりばめられていると、そう思いました。本書を読んでいると、何度も何度も”考える”ことを要求されるので、読むと疲れます。が、1冊読み切ったとき、達成感と「武器」となり得る思考力を得ることが、たしかにできるのではないか、と、そう思うのです。

では、お読みいただきありがとうございました。

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